建物は福岡県、矢部川の上流にある山村、星野村の中心部を見下ろす高台にある。
既存の宿泊施設〈池の山荘〉の増築として計画されたもので、温泉棟と休憩室棟の2棟からなり、それぞれ中庭を挟んで渡廊下で連絡している。 入浴だけではなく、茶畑や棚田、雑木林や遠くの山並みまで山里の風景を切り取って楽しんでもらえるように、建物は高台の緑に沿って折り曲げて配置した。主要構造部材はすべて地元矢部川源流域の杉材を使用し、地元の大工、工務店によって加工、組立がなされた。 全体の空間構成は、方杖を持った門型架構を桁行方向に連続させることによって得られる主屋と、胴差から葺きおろされた下屋とからなり、前者には浴室、休憩室を充て、後者には廊下を含む付属諸室を収めた。
門型架構と桁、胴差、方杖など主要構造部の仕口は全て〈ホームコネクター〉によって緊結した。 この特殊金物は、施工の簡略化、水廻りへの金属露出防止の面でも有効であった。 内外の仕上げにおいても、地元産の杉檜の板材を多用するとともに地場の自然石や山採りの樹木を選んで周囲の景観との融合を図り、星野の水と森と大地に浸るひとときを得んことを願った。
所在地 | :福岡県八女郡星野村 | ||||||
主要用途 | :公衆浴場 | ||||||
規模 | :地上1階 | ||||||
主体構造 | :木造平屋一部CB造 | ||||||
敷地面積 | :4805.09㎡ | ||||||
建築面積 | :558.07㎡ | ||||||
延床面積 | :455.86㎡ | ||||||
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